Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第2章 急展開
「あれは……条件反射です」
ローから向けられる痛いほどの視線。
ナツは少し気まずそうにそう答えた。
これは、助けられたと思ってくれているのか。
それなら尚更、それを今更掘り下げて欲しくはない。
そもそも自分が背後に気を配らずにぎりぎりまで引き付けて強盗の攻撃をかわした。
彼を危ない目に合わせたのは紛れもなく自分であり、そこに今更気付かれては今度こそ我が身が危険だ。
忘れてくれ、あの事は。
「……はぁ」
ローの深いため息が静まり返る室内に響く。
再び訪れた沈黙に、ナツは頼むから早く出て行ってくれと呪文のように心の中で唱えまくった。
いつも何百と言う美女達に囲まれている筈の院長が吐くため息の頻度が半端ない。
どんなに蓄積されていたとしても、そんなに吐き出してばかりでは彼の幸せの残量が少し心配だ。
というか院長の印象が勝手に思い描いていた私のイメージと大分違う気がする。
こんなに大人しい感じの人なのか?
もっと鬼畜ドS俺様な人物かと思っていた。
変に誤解してたみたいで、なんか悪かったな。
「……何が望みだ?」
「は?」
ナツが噂はやはり当てになるもんじゃないなと、自分の職場の最高責任者へ今後は敬意を払おうと思い直した所で
黙り混んでいた院長が口を開いた。
「助けてもらったんだ。礼くらいしてやる」
あぁ、なるほど。
本当に噂のイメージとだいぶ違う。すごく律儀な人だ。
……元はと言えば私のせいなんだけどな。マジで。
本当に、いつか彼がそれに気付いた時
実はどんなにいい人だったとしても、自分はこの人に殺されるんじゃないかとすら思う。
後ろめたい思いを抱えつつも、お礼して貰えるんだったら何か貰っておこうかと
ちゃっかりお礼の品を何にしようか悩んでいるナツ。
「ああ、そうか」
その様子を眺めていたローはそう言うと、椅子から立ち上がりナツの肩を掴んだ。
ドサリ
聞こえて来た納得したような言葉と共に、ナツはベットへと押し倒された。
「は?」
馬乗りになるようにベットへ乗り上げ、組み敷いた存在を見下ろしているロー。
「オレに抱かれたいのか」
口の端を吊り上げナツを見下ろす彼の姿は、先ほどまで大人しかった彼とは
全く別人のようだった。