Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第2章 急展開
「あんたの怪我なんて治らなくても良いのよ別に。っていうかこれしきの怪我で特別室とか図々しいのよ。」
「あなたの行動がどれだけ迷惑かけているか分かってるの?院長先生の手を煩わせて。本当、あり得ない。最低。カス。ゴミ。逃亡するなら院外に逃げろよ、クズ。」
「……いや、はい。すんません」
所変わってここはさっきまで居た特別室。
ナツは看護師達からボロクソに文句を言われていた。
院長がいなくなった途端にタガが外れたように責めてくる彼女達。
とりあえずは謝罪の言葉を述べたものの、中々帰ってくれる気配はない。
寧ろヒートアップしてるようにすら感じる。
謝ってるのに、なぜ?!
病室の時計をチラリと覗き見ると
もうとっくに始業時間は過ぎている。職務放棄か?
そうか。
この人達がこんなんだからお父さんの知り合いは頭を抱えて
巡り巡った因果は最終的に私がここで働くという最悪の結末を生んだのか。
なるほど。確かにこれはお手上げだ。
彼女達の人を罵るボキャブラリーの多さにはもう、感動すら覚える。
ナツはそんな看護師達から目をそらし軽くため息を吐いた。
丁度その時、病室の扉がノックもなしに開かれる。
室内の全員の視線は、その扉の向こうに集中した。
「こいつに話がある。おまえらは下がれ」
このタイミングでの来訪者。
少しは予想していたもののやはり入ってきたのは我らがボス、院長先生で。
看護師達は一様に不満げな表情を浮かべたものの、大人しく院長の指示に従い部屋を出ていった。
ガチャリと扉が閉まる音が、静まり返った室内に響き渡る。
特に面識もない、噂で仕入れた知らない方が良さそうな情報でしか知らない院長と
二人きり。
あぁ、うん。めっちゃ気まずいんだけど。
恐ろしすぎて顔が見れない。
それでも感じる強い視線に、ナツは顔を引きつらせた。
……よし、隙を見て逃げるか。
視線を膝に落としたまま、この恐ろしい状況から逃れるための逃走経路を練り始める。
散々パシられまくったせいで、院内の構造は熟知していた。
まずはあの角を曲がって階段で六階に……
カモフラージュでエレベーターのボタンは押すとして……
そしてそんなナツを横目で見ながら、
院長、ローはベッドサイドのイスに腰をおろした。