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Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】

第2章 急展開


看護師VSベポの戦いの火蓋が切って落とされてから早数分。

上品さの欠片もない罵り合いの中、両軍の間でただ局面を見守っていた院長が
すっと片手を上げ、その場を制した。

それまでの罵声の響き渡る状況とは一転して
玄関ホールはしんと静まり返る。


やれるなら最初からやれよ。


何時の間にか辺りには人が増えていて
遠巻きにこちらを伺っている人々がちらほら見える。

完全に見世物だ。


「もう一度聞く。何故入院患者である筈のお前がここにいる」


院長の低い声がナツへとそう問いかける。

あなたの取り巻きのナース達が怖いからですって正直に言ったら
後ろの彼女達はどんな顔をするんだろう。

アカン。
それ倉庫に呼び出されてフルボッココース。

この怪我以上に重症患者にされるの確定なやつ。


「………この病院の為に出来るだけ働きたいんです。怪我もたいしたことないですし」

「あはは。面白いこと言うね」


当たり障りない言い訳を模索した結果行き着いた苦し紛れな言い訳に、
ベポが鼻で笑いながらそう感想を述べた。

味方じゃねぇのかよ!
頼むから黙っててくれ。


「どんなに怪我をしようが身体が勝手に出勤するんです。そういう風に訓練されていますので」


……これは流石に言い過ぎたか?
皆勤賞~ブラック企業ダービー~の優勝を狙い過ぎた感が否めない。
社蓄っぷりをアピールしようとした結果、お仕事ロボット感まで滲み出て来た気がする。

ナツの言葉に、院長に始まりその背後に控えている看護師達から感じる威圧感は確実に増した。

一度見切り発車をした手前もう後戻りはできない。
ナツの言い訳はその後数分間続く。

目の前の白い集団は相変わらず怖かったけど
優勝は確実だって確信できるほど、我ながらナイスな社蓄っぷりだと思った。


「もういい。こいつを病室へ戻せ」


呆れたような表情の院長が出したその指示に、看護師達は忠実に従う。

ズルズルと引きづられながら、ナツは遠い目で己の人生を振り返った。


(さよなら私の人生。まさかの処刑エンディング。どこの選択肢を間違えたんだろう、マジで。)


ベポがキリッとした顔で頑張れとでも言いたげに親指を立てているのが視界の片隅に映った。
応援はいいから助けろよ。

私はそう思っていた。



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