Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第2章 急展開
っていうか院長クラスの医師がなんで
私のこんな切り傷程度の怪我事情を知っているんだろう。
これより重症な患者なんてこの病院には五万といるだろう。
院長の神の手の出る幕なんて、この掌の傷にはない筈だ。
寧ろ救急箱さえあれば私だって自分でなんとかできる。
あれか。やっぱり脱走が目立ったのか。
くそっ、早まったか。
「ちょっと!わざわざトラファルガー先生がこんな所まで出向いてくれてるって言うのに!!他に何か言うことないわけ!!?」
考える事が多過ぎて
もう頭をシャットダウンしてしまおうかとナツが現実逃避策を考え出した時、
看護師の荒ぶった声がホールに響き渡る。
綺麗な顔が揃いも揃って鬼のような形相だ。
あんなに怒ってるってことは、やっぱり私は脱走のことで責められているんだろう。
どんだけ重犯罪扱いだ。
一応謝ったんだから見逃してくれよ。
もしくは病室に戻るまで許されないのか?それはマジで勘弁してくれ。
一人が声を上げればその波は次々と他の看護師に連鎖していき、
大奥の女人方はもう大騒ぎだ。
わー。
めっちゃ怒ってらっしゃるどうしよう。
収拾の付かないその状況に頭を悩ませていると
毒は良く吐くが基本的に穏やかな筈の白熊が、吠えた。
「煩い黙れ。何しに来た訳?こんな大勢で。そろそろお客さんも来るんだから、帰ってよ目障り。」
看護師達のナツを非難する声質とは種類の違う、やや低くてドスの利いたベポの声。
一瞬何事かと静まり返ったものの、彼女たちも大人しく引き下がる程おしとやかではない。
非難する対象をベポへと移した看護師達と
腕を組みながらそれに臆する事もなく立ち向かうベポ。
……ベポ。
大奥の皆さんの暴挙にはベポも心を磨り減らす程疲弊してた筈なのに。
全然強いじゃん、キミ。
ナツはどこか遠い目をしながら
ギャーギャー騒ぎ立てる目の前のその光景をただ、眺めていた。