Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第11章 番外編
意気揚々と席に戻って来たナツの手には
山のようなモンブラン。
甘いものの中でも、ナツが特にこれを好きな事は知っている。
しかしきらびやかな見栄えのケーキ達が他にもある中、モンブランだけを皿にぎっしり敷き詰めて戻るこの女はやはりどこかおかしい。
「折角色々あんだろ、他のも食えば良いのに」
「食べるよ!それも!!後で!!」
まだ食うのかよ
既に現時点で
見ているだけでも胸焼けしそうだ。
何店かあった候補の中から
ナツが選んだのは期間限定でこのアウトレット内に出展している某有名ホテルのスイーツビュッフェ。
普段あまりローにたからないナツが最も高額なそこをドヤ顔で指差した事に
彼女の怒りが伺い知れる。
いくら高かろうがたかが食事1回分。
その程度でローの財布に打撃を与えられる事など有り得ないことは火を見るより明らかだった。
「うんまぁーっ!!幸せ!すっごい美味しい!最高!」
「…良かったな」
信じられないペースで消えていくモンブラン。
同じものをそんなに食って飽きねぇものかと、ローの頭では目の前の生き物の行動に理解が及ばない。
もぐもぐと一口頬張る毎にうっとりと目を細めるナツの顔を
極力下を見ないように視界に納めた。
幸せそうな顔を見ているのは良い。
こっちまでその幸せが移りそうな程。
ただどうしても彼女を幸せにしているその状況が受け入れられない。
異常だ。
尋常じゃない。
いくらなんでも食い過ぎだろう。
予告通り全てのモンブランを胃の中に納めたナツが次に持ってきたのは
クレームブリュレ
ベイクドチーズケーキ
オペラ
アップルパイ
ティラミス
ガトーショコラ
フルーツタルト…
まるでこれが一皿目かのようにペースを落とさず消えていくケーキ。
「ロー食べないの?」
「おまえのせいで食う気が失せた」
え、なんで?と返事をしながらもケーキを口に運ぶその手は止まらない。
元よりあまり甘いものは好まない。
たまに食いたくなる事はある。
しかし今は食いたくない。
スイーツ以外にもサラダやパスタ等の軽食も並ぶこの店で良かった。