Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第11章 番外編
「ねぇ!この面白食感の煮物!これ!なに?」
「くわいだ。」
目を見開かせては食事を楽しむナツに、未知の事を教えてやるのはどこか楽しく感じる物がある。
「出汁が美味しい!これ好き!!」
そんな気等ないだろうナツの、食における審美眼。
良いものをただ純粋に良いと称するこの天性の才能がありながら
なぜこいつはいつも糖分ばかりを欲するのか…
「美味しいね!幸せ!」
「良かったな」
他愛ない会話を交わしながら彼女と過ごすこの時間。
それは口にはしないものの、ローが好きと思うひと時。
毎日を忙しく過ごす二人は、こうして一緒に食事を取ること事態稀なのだ。
「本日のお米、山形県産のつや姫でございます」
和やかな食事の空間を、割って入ってくる女将。
ここが特別室だからだろう。
女将自ら食事をよそいに部屋を回るとは思えない。
「山形と…何か縁があんのか」
「あら…気付かれました?…そうですね、銀山に提携店がございまして。良いものはそちらを通して仕入れております」
成る程。
茶豆に米、それならば納得もいく。
香の物と共に茶碗によそられた白米は細長く艶やかで
その旨味も大した物だ。
家に帰った後もナツに食わせる十六穀米と合わせて焚いてやろう。
これも取り寄せ決定だ。
「なんか分かんないけどこのお米美味しい!」
「あら…少し前までは魚沼産のコシヒカリを使っていたのですが…うちの料理長がこれに惚れ込んでしまいまして…」
もぐもぐと飯を頬張るナツはまるでハムスターのよう。
その視線に呆れを入り交じらせながらも、ナツを見つめるそれは穏やかな和らぎを帯びていた。
「肉にも合うな!この米!!」
来て良かった。
休みを捻出する為に過密に詰められたオペ。
正直オペは嫌いじゃない。
しかし人の命を預かる以上、それには緊張感が付きまとい
無事成功し終えた後に襲い来る疲労は半端なものではない。
「ねぇロー!これ食べた?甘い!!デザートか!!」
「花梨の糖蜜漬けだ」
こうして他愛ない会話を交わす時間が、その疲れを忘れさせる。
またこうしてこの時間を過ごす為に、殺人的スケジュールをこなす活力が沸く。