第11章 番外編

落ち着け…
まだ外に着て行くとは限らない。

部屋着だ。
寝間着だ。

それならペアルックでも何でも構わない。
それが例えくそダセぇTシャツだろうと何だろうと。

それでナツの気が済…
ナツが喜ぶなら。


明日の日中これを着て温泉街を回ろうと言われたらどうしようと頭を悩ませた。

基本的に我は通す。
したくないことはしない。

人に合わせる事もしない。
命令されることなんてもってのほか。


たださっきの、おれが服を選んでやってることを嬉しいと笑ったナツの顔が
自分もたまにはしてあげたいと目を輝かせたあの顔が頭から離れなかった。


変な服着させたくねぇだけなのに。


おれも惚れた女には弱いらしい。
そしてそれが方向性はさておき自分を想ってしようとしてる事なら尚更。


自分にもこんな人間臭い一面があったのかとローは自分のその変化に驚いていた。


ただ人の目がある所であれを…
しかもペアルック…


無理だ。
絶対に無理だ。


そこは何とかしよう。
話し合いが必要だ。


頭の中の頭痛の種をなんとか処理し終えると、Tシャツ二枚の会計にしては戻ってくるのが遅すぎる事に遅れて気付く。


…あの野郎まさか…


ナツの油断も隙も無いその行動力に、ローの眉間に刻まれたシワは深くなった。