第11章 番外編

バンッ！！


「おいナツ！！どういうことだよ、あの医院の院長と結婚するって。正気か！？」


混乱が渦巻く会場に、更なる乱入者が現れた。

叩きつけるかのように開かれた扉の前には、ナツの兄であるエースが立っていた。


因みに言ってなかったがナツには兄がいる。


自由奔放過ぎる兄の姿を、ここ一年見ていなかった。
それが何故今この場にいる。
てか何故それを知っている。

ナツが父に視線を送ると、どうやら兄に話したのは父らしい。

ナツは取り合えずこの収拾がつかなくなった場を何とかするため、憤慨しているエースを隣に座らせた。


「おまえがローか？病院内の看護師全員に手ぇ出して回ってるって噂の。そんな奴になんて大事な妹やれるかよ」


エースは腕を組み目の前のローを睨みつけている。


父親役をエースがやるのか。
じゃあ父の配役はなんだ。
そして私は一体何をどうすればいいんだ。


「全員な訳ねぇだろうが。おれとナツの付き合いはお前らよりもずっと長い。とやかく言われる筋合いはねぇ、失せろ」

「はぁ？意味分かんねぇよ」


2人の間でバチバチと火花が散る。

ローは前世のことを言っているんだろう。
そんなことエースに話しても意味が分からないだろうに。

この場だけ穏便に済ませてくれれば言いというのに、わざわざ煽るローも中々に良い性格をしている。

あ、この２人絶対相性悪いパターンだ。

ナツは瞬時にそう悟った。