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Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】

第2章 急展開




ポタリ、ポタリという音と共に
床が赤く染まってゆく。



それを取り囲む店内の客は、それぞれが手で口元や目を覆い驚愕の表情を浮かべていた。

人は本当に驚くと、叫び声すら出ないらしい。

不自然に静まり返った空間で
血溜まりを作った張本人も、ナイフを握る手元はガタガタと震えており、
それを凝視する目は今にも溢れ落ちそうな程に見開かれていた。


ちょっと格好付けようとはしたものの、結構痛い。


咄嗟にしでかした行動には、自分で自分に驚いてしまう。
私はせっかく避けたナイフの刃先を、素手で鷲掴みにしていた。

いや、だって。

私が避けたせいで3度も偶然お隣になったお兄さんが刺されるとか

逆ナンしてた女の子に怒られそう。

素手でナイフを握りしめるなんて、どこの漫画の世界かと思う。
我ながら。


「な、なんだてめぇ!!」


ナツの奇行に、強盗のパニックは臨界点を突破した。
刺そうとして刃物を握って突進してきた癖に
これしきの血で我を無くすとは小心者もいい所だ。

口ばかり達者で、未だにガタガタと震えている男の手中からナイフを取り上げる。
ナイフは力の抜けきったその手から、いとも簡単に離れた。


「俺をバカにすんじゃねぇっ!!」


冷めた目で見上げてくるナツに、
屈辱と武器を奪われたという現実、そこに極度の混乱が加わった強盗はなりふり構わず暴れ出した。


ガシャーン!!


混乱のせいなのか、知性のある生き物が繰り出す攻撃とは思えない程に奇想天外な暴れ方をする男。

やりにくいと思いながらもそれを避けていると、ナツは床に落ちた自分の血で足を滑らせバランスを崩す。

重心の安定しない体にのめり込んだ男の拳は
ナツの身体をテーブルやイスを巻き込みながら壁へと打ち付けた。


(あ、これ駄目なやつ)


意識が急速に遠のいていく。

恐らく死にはしないだろうけど、自分の意識のない所でめった刺しにされるのは勘弁してほしい。

自分のものである筈なのに、動けと願う意識とは裏腹にまったく言うことを聞かない身体。

軋むように痛みを訴える全身と
徐々に狭まっていく視界に、ため息が出た。






視界が暗転する前に見えたのは

偶然にしてはお隣さんになることが多すぎる彼が
駆け寄ってくる姿だった。

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