Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第2章 急展開
ストレスの温床であるあの医院に務め始めて早数ヶ月。
ナツがこの店へ来る頻度は格段に増えていた。
何時ものを頼み、相変わらず携帯でオンラインゲームに勤しむ。
そしてまた。
何の偶然なのか、隣には例の男が座っていた。
ここで夕食を食べる機会は多いものの、彼を見かけたのは数回程度。その内こうして隣の席に彼が座っているのは今日で3回目だ。
相変わらず逆ナンされている彼にため息を漏らすと、運ばれてきた食事をささっと完食する。
レジで会計中、男も店を後にするようで席を立ったのが見えた。
帰ったらお風呂入ってさっさと寝よう。
帰宅後の予定を考えながら店の扉に手をかける。
バンッ!!!
「てめぇら!!殺されたくなかったら大人しくしろ!!」
ナツが扉を押す前に開かれた扉。
なんと。
目の前に血走った目でナイフを握りしめた男が現れた。
遂に強盗は、コンビニだけでは飽き足らず飲食店まで襲う時代になったのか。
っていうか外から押す扉じゃなくて良かった。
逆だったら確実に顔面強打してたわ。
あっぶねー。
ナツは目の前にナイフを突き付けられているというのに、結構どうでもいいことを考えていた。
「ジロジロ見てんじゃねぇ!刺すぞ!!本当に刺すからなっ!!」
他の客たちが動揺する中、一番近くにいるというのに特段強盗にもナイフにも恐れる様子のないナツ。
その反応が面白くないのか、強盗は更に声を荒立てて騒ぎ始めた。
そしてナイフを振り上げナツに斬りかかる。
ひょい
ナツは難なくそれを避けた。
流石に銃が相手では勝てないものの、ナツは素人が振り回すナイフくらいなら余裕でかわす事ができる。
ここ最近威厳も株も大暴落な父はナツが幼い頃から、空手や剣道、合気道にムエタイ、様々な武術を教えこんだ。
これに関してはお父さんに感謝しても良いかも。
何度切りかかってもひらりと身をかわすナツに苛立ちが募った強盗は、両手でナイフを握りしめたまま突進して来る。
そんな刃先の軌道が丸見えの攻撃等避けられない筈がない。
ぎりぎりまで引き付けてから身を翻すと
「あっ」
ナイフの矛先はよくお隣になる彼の元へと向かっていた。
ナツの体は、考えるより先に動いていた。