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Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】

第2章 急展開



「あ、ありがとうございますシュライヤ医局長。……捨てるなんて不注意にも程があるでしょう。次から気を付けなさい」

看護師はそれだけ言うと逃げるようにその場を去っていった。
彼女の露骨すぎる態度の変わりようには、開いた口が塞がらないという言葉がぴったりだ。

せっかくだから開けておこうと
開いていた口を自覚した後も、あえてそのままで過ごした。


「あんたも大変だな」

看護師の後ろ姿が見えなくなると、男は白衣のポケットに手を突っ込んだままこちらを振り返った。

実はこの医院には院長以外にも、目の前を通るだけで看護師達が黄色い悲鳴をあげるような人物が二人いる。

その人物とは、一人はこの内科医局長のシュライヤ先生。もう一人はリハビリ部門の部長らしい。

他の専門医もそれなりに人気があるのだが、中でもこの二人は群を抜いてモテていた。

院長に比べれば人気は落ちるが、先ほどの看護師も目に見えて動揺した位だ。“医局長”という肩書き以外にも、目に見えない権力があるのだろう。

彼らにはまだナツの知らないナニカがあるのだが、その事実を彼女が知るのはもう少し先の話である。



「っは!すいませんちょっと訳あってアホ面を……。ついでにぼーっとしてました。書類を見つけて頂きありがとうございます」

何か色々と聞こえた気がするが、深々と頭を下げてお礼を言うナツにシュライヤは気にするなと笑ってこたえた。


本人が気付いていないだけで、看護師達によるナツへの嫌がらせは院内でも有名な話だ。
院長ゴシップの次くらいに。

偶々とは言え、捨てられる筈のない重要書類をゴミ箱の中に見つけて、嫌な予感を感じた。

イビり部屋として有名な事務室に来てみれば案の定、その書類のせいで難癖をつけられている噂の彼女。


「ストレス溜めすぎると風邪も引きやすい。……内科医が必要ならいつでも来ていいぞ」

シュライヤはからかうような笑みを浮かべると、仕事へと戻っていった。



(なんだろう、漸くまともな人に出会えた気がする)

突然現れてはすぐに立ち去ってしまった彼だが
その滲み出る良い人オーラは、彼こそは本当にまともないい人だと教えてくれているようだった。

彼の気づかいに感動したナツは、彼が立ち去った後もその方向を見つめながら
茫然と立ち尽くしていた。
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