Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第2章 急展開
「今度納品される内視鏡の契約書渡してたわよね?準備して貰える?」
ナツが書類を整理していると、看護師から声を掛けられた。
確かにこの高飛車な物言いの看護師からそれを受けとった記憶がある。
ご依頼の物を渡そうと机の引き出しを開けたのだが、そこにある筈の書類は跡形もなく、きれいさっぱりなくなっていた。
そこにあった筈の書類は、最近認可が降りたばかりの最先端医療機器の契約書って聞いた。
この看護師に。
そんな事わざわざ言われなくても、契約書の金額欄に並んだ0の多さは
素人の私にさえも、この書類が重要なものだと知らしめるのには十分だった。
そんな重要なものを私に渡すなと言いたい。
でも看護師に逆らえるわけもなく、それを受け取ってしまったのだ。
その結果これだ。
パターンAがA⁺に進化した。
ついにバリエーションだけじゃなく精度まで上げてきやがった。
「あなたは紙切れの管理も出来ないの?あの書類をなくしただなんて、始末書じゃ済まないわよ?クビよクビっ!」
まじっすか!是非お願いします!
威勢良く御意!と叫びたい気持ちを抑えてなんとか思い留まる。
契約書がなくて困るのは彼女も同じ筈なのに、どこか勝ち誇ったような表情を浮かべている彼女の口振りは
夕食の後の謎解きが得意などこかの令嬢を連想させた。
「来週この内視鏡を使わないと出来ないって言われてるオペがあるの。あなたクビどころか賠償金請求されるんじゃない?」
え、それは嫌だな。
看護師の言葉の真偽は定かではないものの、あの0が大量に並んだ金額を賠償させられるのは結構な恐怖だ。
くそ。だから公務員がよかったんだ。
……いや目指してなかったけど。
ナツの顔色の変化を見て、看護師が嫌味ったらしく鼻を鳴らす。
なんだか流石に、……キレそうだ。
「契約書ってこれか?なんか俺のところに捨ててあったぞ」
右ストレートを繰り出そうと拳に力を込めた瞬間、見慣れない男がナツと看護師の間に割って入ってきた。
ピンク色の髪の彼から書類を受け取った看護師は、誰が見ても不自然な程慌てている。
スタンバイした拳を危うく恩人に食らわせる寸前だったナツは咄嗟に左手でそれを覆い発射を防いだ。
その恩人の名はシュライヤ。
Trafalgar医院の内科医局長だ。