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Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】

第9章 ペンギン



「悪かった」


え。
なんか謝られた。

何に対する謝罪だろう。
思い当たる節が有りすぎて分からん。



「おまえが出ていって、退職届を見つけて、どこ探しても見つからなくて。後悔した」

「何に、ですか?」


院長の目には、見慣れたあの狂気のような感情は見当たらなかった。


「おまえの話を聞かねぇで、俺の言い分を一方的に押し付けた。悪かった」






落ち着いてくれればちゃんと話せる人なんだろうな。

なんであそこまで突っ走ったのかは知らないけど
ちゃんとまともな感覚を持っていて、それから外れた行動を反省する常識は持ち合わせていたらしい。


「そこはもう、良いです。良いから、訳を聞きたい。なんで私にそこまで拘るんですか?」

「……おまえは全く覚えがねぇのか」


ねぇから聞いてんだろうが。

全く覚えのない私に、腹立たしげに眉を寄せる院長の様子を見ていると

私は本当に覚えていないだけで何かをこの人にしてしまったんじゃないかと思えてくる。


何もしてないと思うし
きっとあの総回診の時が初対面だ。

いやお店が初対面か?

どっちみちこんなに執着されるような間柄ではなかった筈だ。



「白い街……病院、海、船……妖精、木、扉、絵本、カジノ……何でも良い。本当に何も心当たりはねぇのか」



すがるような、瞳だった。

院長が私に、心当たりがあると言って欲しいのがありありと分かる、そんな顔。




どの言葉も知っている。

でも、院長には悪いが
それを聞いても院長が私に拘る理由には合点がいかない。


「すみませんけど、何も」

「なら良い。分からなくても良いから近くにいろ」












は?

結局それかよ。


相変わらずな院長に、ため息が出た。
院長は自分の中で色んなことを考えて、それで出た結果がそれなのかもしれない。

でも私は理解出来てない。
訳も分からないことに付き合わされるのは、もう嫌だ。


「いられません」

「あ?」

「人違いです。私は院長が探してる人ではないし、例えそうだったとしてもあなたのことを理解できない」


ギラリ、と院長の目に狂気が宿った。

ヤバい予感がするけど、言わなければ。
ちゃんと言わないと
私もこの人も、ずっとこのままだ。

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