Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第9章 ペンギン
公園のベンチには院長が座っていて、その前に佇んでいるペンギンと何かを話してる。
声をかけられずに立ち尽くしていると、ペンギンが気付いて声をかけてくれた。
それにつられるように、院長の視線がこちらを向く。
不満や不機嫌さが存分に込められたその視線。
何も言えなかったけど、目は逸らさなかった。
どこかすがるような思いが、込められてる気がしたから。
「俺あっち居るから。院長も変なことすんなよ」
「ああ。悪いな」
私をベンチまで連れてくると、ペンギンは背中をパシっと叩いて少し離れたブランコの方へ行ってしまった。
院長と二人っきりになるのは、正直怖い。
また人の話も聞かずに手込めにされてしまうんじゃないかと思うと
大王を抱き抱えて全力ダッシュで逃げ出したい。
「つったってねぇで座れ」
「あ、はい」
私には初対面でも飛び付いて来た大王は、院長には寄っていかなかった。
賢い子だ。
なんか院長何も言わないんだけど
私から切り出した方が良いんだろうか。
ちらりと隣に座る人物の様子を盗み見ると
夕焼けに照らされたその横顔は、やっぱりイケメンだった。
長い脚に肘をついて、何を考えているのか分からない神妙な顔で視線を前に向けている。
少し視線をずらせば、いつの間にかブランコでやんちゃそうな男の子達と遊んでいるペンギンの姿が目に入った。
話さねば。
「あの、聞きたいことが、あります」
「なんだ」
返事と共にこちらを向いた2つの瞳に、自分が怖じ気づいたのを感じた。
「院長が見ているのは、私じゃないですよね?」
逸らさずに受け止めた視線が、少しだけ揺れた気がした。
それは私の問が的外れな物じゃないことを、物語っているみたいだった。