Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第9章 ペンギン
「似てるなって思ったけど。ナツはナツじゃん」
シードルの蓋を回せば、ぷしゅっと炭酸が抜ける音がした。
ペンギンが好きだった人は私と似てるのか。
なんだかこれ、いつかも経験した感覚だ。
私を通して誰かを見ているような感覚。
院長もそうだった。
ペンギンもそうなのか。
「院長がそこに拘って失敗したの目の当たりにしたから、俺は拘らないことにする」
「拘るってなんですか。結局そうなら、拘ってようとそうじゃなかろうと同じでしょ」
結局院長もペンギンも、必要なのは私じゃなくて他の人。
なんだか騙された気分だ。
「それ気付いてやってんの?」
「それ?」
「ヤキモチでしょ。それ」
ヤキモチ?
私が?
ペンギンに?
あぁ。そうなのかもしれない。
院長の時は、嫌だなって思うよりもただ納得できた。
だってあの人は、私のことを何も知らないまま思い通りにしようとしたから。
でもペンギンは私のことをちゃんと知っていて
私もペンギンがどういう人かも知っていて
好きに、なりそうになってたから。
だから騙されたって悲しくなった。
「俺がナツのことどう思ってるかは、ナツが一番知ってるでしょ」
「ずるい逃げ方するな」
じと目で睨んだら、なにが面白いのか笑われてしまった。
身代わりだろうとなんだろうと、ペンギンが私にしてくれたことは変わらない。
沢山助けてくれて、笑わせてくれた。
私は私、か。
ペンギンは私を否定したりしないから、きっと好きだった人と同じにはなれない私でも良いんだろう。
きっかけは、その人だったのかもしれない。
でも今ペンギンが好きなのは私で
危ない事とか面倒な事も、全部私のためにしてくれてる。
そろそろ、自分の気持ちに蹴りつけなきゃな。
シードルを飲み干して気合いを入れた。
私はきっと、この人のことが好きだ。