Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第9章 ペンギン
平日の日中、アレクサンドロス大王が居るおかげで
私の生活は前ほど退屈ではなくなった。
ペンギンは、私が日中どこにも出掛けられずに一人で居るのを気にしてくれて、この子を連れて来てくれたんだろうか。
そういえば。
長すぎるその名前の略し方で、結構揉めた。
ドロスか、大王か。
大王と呼びたがるペンギンには悪いが、散歩中に「大王!」と名前を呼ぶのは中々な罰ゲームだ。
でもなぜか相当気に入っているらしいペンギンは譲ってくれない。
今は一緒に居る時間は私の方が長いけど、飼い主はペンギン。
仕方なく折れてやった。
夕飯の後にはペンギンと大王で散歩するのも、気付けば日課になっていた。
何てことない道を歩いているだけなのに
その時間はいつも楽しかった。
すれ違う女の人を食べログ評価とかこつけて☆の数で評価しだしたり
次の角曲がって最初にすれ違う人が美人だったら明日は絶対良いことあるとか言い出したり
基本的にアホなことしか言わないけど、ペンギンと居る時の自分はいつでも笑ってる気がする。
チャラ男の筈なのに、有言実行なのか、これが普通なのか
好きって言われた割にペンギンは何もして来ない。
でもそのせいで気持ちを疑うとかは全然ない。
自意識過剰かもしれないけど
ペンギンは私を好きで居てくれるんだろうなって安心感がある。
「ナツコンビニ寄ってこー」
大王が居るから二人では入れない。
ペンギンは私に財布を渡すと、ビール!とだけ告げて私の手からリードを引ったくった。
ペンギンが飲むなら私も何か買って貰おう。
お酒コーナーから新発売らしきものとペンギンお気に入りメーカーのビールを何本かずつかごに入れた。
コンビニの外で大王とじゃれついている人が好きなお菓子を当然のように手に取る。
ペンギンの好きなものとか
言いそうだったりやりそうなこととか
好きなテレビ番組とか
タイプの女の人とか
なんか当たり前に分かるようになってるなって思う。
多分、こういうことなんだろうな。
コンビニから出ると、当然のように荷物と引き換えにリードを渡された。
こういうとこ気がつかなそうなのに、意外とジェントルマン。
少し前をやる気なさそうに歩く誰かさんを見ていると、自然と笑顔になった。