Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第9章 ペンギン
「ただいまー!」
玄関は開いて居たのに、返事がない。
先ほどエントランスでペンギンの部屋の番号を押した時、おかえりと声も確かに聞いたし
自動ドアも開いた。
どうしたんだ?
聞こえなかったのかな。
「ペンギン?帰ってきましたー……って、え!?」
リビングの扉を開けると、足元に何かふさふさしたものが突進してきた。
「大王、おいでおいでー」
まさかそれが名前なのかと突っ込みたくなる呼称で呼ばれた足元のふさふさは、リビングのソファーに座っていたペンギンの元へダッシュで駆けて行く。
「その子、あの時の!?」
「アレクサンドロス大王です。ナツちゃんよろしくー」
いつかペットショップで見かけた、やんちゃなパピヨン。
ペンギンは足元にすり寄ってぴょんぴょん跳ねるその子を抱き上げると、ぐしゃぐしゃと頭を撫でながら無理やり私に挨拶させた。
「か、かわ……かわいい!」
「抱っこする?」
ペンギンに手渡されたつぶらな瞳でこちらを見上げてくるわんこ。
嬉しそうによじ登ってきては顔を舐めてくるこの子に心が癒された。
「というか、なんでアレクサンドロス大王?」
「強そうで偉そうだから」
そんな理由、気の毒すぎる。
強そうでも偉そうでもないこの愛くるしいわんこに、よくもそんな名前を付けようと思ったものだ。
「実家、どうだった?」
「取り敢えず携帯使えないことと、仕事辞めたことは言ってきました」
家に乗り込んで来た訳ではなかったけど、なんだか常に見られているようなつけられているような感じがして
シュライヤ先生が帰り道の高速で驚きのドライビングテクニックを披露し、その人達を撒いてくれた。
「荷物、取ってきた」
「はい?」
あっち、と指差すペンギンの手の指す方向には
見覚えのある気がする大量の段ボール。
「あの、まさか今日の予定って……」
「不法侵入」
マジか。
「本当に、何から何までごめん」
「ごめんよりありがとうのが嬉しいけど。ついでにお礼はちゅーで良いよ」
ニヤりとそう言って笑うペンギンに、顔に熱が集まるような感覚を覚える。
誤魔化すようにため息を吐いて、ソファーに腰を降ろした。
腕の中のアレクサンドロス大王が、嬉しそうに尻尾を降りながらこっちを見上げてた。