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Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】

第9章 ペンギン


オペも入っていないのに、院長室の内線は常に不在。
院内でその姿を見かけることもない。

十中八九、院長はナツを探し回っているんだろう。

アイツはやるからには徹底的にやる。
そこらの探偵も顔負けな方法で、ここ数日間ナツを探していたに違いない。

そこまでしても全く足取りが掴めないだろうこの状況に
あっちも自分の予定がナツにバレていることを予測してるんじゃないだろうか。

自分が出張のタイミングでナツが動くとしたら、彼女が向かいそうな当てのいくつかに人を配置していてもおかしくない。


「楽しいドライブプレゼントするから、行っといで」

「ペンギンは行かないの?」


ナツがきょとんとした顔で首を傾げる。


「俺ちょっとやることあるから。とりあえず明後日、出掛ける準備だけしといて」

「……うん」


自由に歩かせてはやれないけど、家の中に缶詰めよりはマシだろう。

日に日に手の込んだ献立になっていく夕食。
有り余る時間を、飯作りに傾けてくれるのは有難い。

朝も起きれば朝食が食卓に並んでいて
昼は弁当まで持たせてくれてる。

良い奥さんになってくれそうとは思うものの
まだ今年の春に大学を卒業したばかりの女の子は、もう少し自分自身の為にその時間を使うべきだ。


「院長の手先居なくても、絶対帰ってこいよ」

「え…でも……」


ナツを口ごもらせたのは、遠慮だけが原因ではないような気がした。

原因が院長であれ、ここに居たくないと思わせているということが、面白くない。


「とりあえず明後日は帰ってこい。実家だってここだって出歩けねぇのは変わんねぇぞ。むしろセキュリティ的に俺ん家のが安全」

「確かに」


引きつった笑いを浮かべるナツが戻ってくることを了承したのを確認して、明後日のドライバー候補に依頼のLINEを送る。

二つ返事で了承の返事が帰ってきた。


院長が不在なら、俺はその間にナツの荷物を運び出そう。


「ねえ、私は誰とドライブ行くの?」

「秘密」


別に教えても構わないが、何かしら楽しみなことは多い方が良いだろう。

安全で、ある程度院長にも対抗できる力を持ってて、信用できるヤツ。

あいつ以上の適任は思い浮かばん。
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