Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第9章 ペンギン
週末までの数日間、私はペンギンの家でただ家主が返ってくるのを待つだけの時間を過ごした。
買い物は宅配サービスを使わせて貰ってるし、キッチンには調味料がやたらと増えた。
ただぼーっとテレビを見て過ごして、掃除や洗濯、ご飯を作るくらいしかやることのない毎日。
仕事に終われていた頃は足りないと思っていた時間が、有り余りすぎて困った。
窓から見える商業施設を眺めて、買い物に行きたいとか、ただ見て回るだけでも楽しそうとか、そんなことも思うけど
どこに院長の魔の手が潜んでいるかもしれないと思うと、部屋から出るのが怖かった。
「ただいまー」
「……おかえりなさい!」
ナツが家に住み着くようになってから、それまでだらだらと片付けていた仕事を真面目にこなすようになり、なるべく早く帰るようにしていた。
おかえりと迎えてくれるナツの顔が、俺の帰りを待ちわびていたように明るくなるのが嬉しかった。
しかしまぁ、日中だけとはいえ
流石に何日も俺以外の人と全く接触もなく、ただ家の中で過ごすというのは
受付として多くの人と接して来たナツにとって、紛れもなくストレス、いや寂しいんだろう。
ふとした時に沈んだ表情を浮かべてぼーっとすることが徐々に増えてきて
これはまずいなと、本格的に思った。
「ナツ週末のご予定は?」
「何もないけど。実家……流石に心配してるかなってちょっと気になってる」
冷しゃぶサラダを何やら微妙な表情で頬張るナツは、流石に連絡凄い来てるかも、とため息をついた。
実家か。
おそらく、張り込まれてる気もするな。
「送迎付けてやるから様子見てきたら?」
「行くなら電車で行けるよ!久々に外歩きたいし」
「それも良いかもだけどさ、院長に雇われた人とかに拐われたりしねぇ?」
「あの人は人まで雇って私を探してんのか!」
へなへなと脱力するナツには悪いが、あの院長はそういうヤツだ。