Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第9章 ペンギン
一通り買ってきて貰った服を着て見せると、ペンギンはそれを満足気に頷きながら眺めていた。
「俺センス良いな。マジで」
「何から何まで、本当に申し訳ないです」
その後彼から聞いた話では、どうやら院長は私を探そうと躍起になっているようで
近隣のホテルやネットカフェには既に彼のネットワークが張られているようだった。
「珍しく今週はオペ入ってないみたいだから、日中も出歩く時気を付けた方が良いかもね」
「なんでそこまでするんだあの人は……」
ちゃんと話さなきゃいけない気はする。
でも、なんだかまともに話を聞いて貰える気もしなければ
院長は何かを私に隠しているし、それを教えて貰える気もしない。
私だって、何を話したいんだかがよく分からん。
あんな犯罪まがいの、いや立派な犯罪行為をはたらかれたというのに
なぜか嫌いにはなれない気がするこの気持ち。
でもそれは、院長が仮に私のことを好きで
愛情表現がとんでもなく歪んでいたと仮定した話だ。
私は誰かの身代わりでしかなくて
その誰かと違う面を全否定されて、私のことを見てくれないのであれば
それはやっぱり、悲しいというか、違うと思う。
「週末院長会議で北海道だし、それまではとりあえずここ居たら?」
「うーん……でも流石にペンギンに迷惑かけすぎでしょ」
「居てくれたら嬉しいって言ってるじゃん。むしろ居てよ、ずっとここに」
「……とりあえず週末まで、お世話になります」
私の言葉に満足げに頷いたペンギンは、テレビボードの引き出しからゲーム機を取り出した。
「じゃ、スマブラでもやろうぜ」
「随分懐かしいものを……私カー○ィね」
あんな吹っ飛ばされても大概戻ってくるヤツずりぃだろと文句を言いつつも
コントローラーやらを着々と準備するペンギン。
この人は、ドストレートだ。
思いもよらないことを結構しでかしてくれるけど、それは全部よく考えれば私を思ってしてくれていることで。
院長みたいに何考えてるのか分からない不安や恐怖も全く感じないし
ご飯を食べたり、出掛けたり、ゲームをしたり
一緒に過ごす中で見えてきたこの人の性格や人となりは、好印象でしかない。
「PKファイヤー」
「させるか!スマッシュ!!」
こうして過ごす時間は、楽しい。