Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第9章 ペンギン
夜ご飯を食べ終えて、皿を洗おうとしたらペンギンが何やら嬉しそうな顔でキッチンの方へやってきた。
「なに?」
「作るのは彼女、洗うのは彼氏、世の常識でしょ」
どこから突っ込めば良い。
お皿を洗ってくれるらしいことにお礼を言えば良いのか
彼氏彼女的な役割分担に突っ込みを入れればいいのか
そうこうしているうちに、ペンギンは備え付けの食器洗浄機に皿を適当に突っ込み、洗剤を投げ入れスタートボタンを押してしまった。
「良いね食洗機。今まで手洗いしてた自分が悲しくなるよ」
「これからは楽になるから良かったね」
含みを持たせるようにニヤリと笑ってそう言うペンギン。
私、ペンギンと付き合ってたっけ。
あれ?
今日は泊めて貰おうと思ってたけど、私ってずっとここに居る訳じゃないよな。
…なんか訳分かんなくなってきた。
「俺は好きだから、告白はナツからしてね」
「……は?」
なんか今、すげぇ革新的なこと言われたぞ。
そもそも好きは告白じゃないのか?
じゃあ告白ってなんなんだ。
というか、私はペンギンが好きなのか?
ファッションショーして見せてー、と袋の中の綺麗に畳まれた服をソファーに並べ出すこの男。
確かにペンギンと居ると、楽しい。
狙ってやってるのか素なのかは知らないが
凄く優しいし女の扱いが上手いんだと思う。
人が頭を悩ませていると言うのに、最初これねと能天気さながらの様子で手渡された服は
黒のショートパンツと鍵編みニットのキャミソールにインナー代わりの白のTシャツ。
「何ぼーっと突っ立ってんの。ここでストリップ風に生着替えしたいとかそういうご希望?」
「違います!」
全力で否定して、ペンギンに借りてる寝室に入り扉を閉めた。
あんななんてことないように飄々としてるけど、ヤツは本気なんだろうか。
答えの見えない謎かけに、少し頭が傷んだ気がした。
「……上はともかく。なんでこんな私にピッタリのショーパンのサイズ、ペンギンが知ってるのよ。」
どこかの傍若無人な院長も勿論だが
何考えてるか分からなすぎるあの部長も、私の心を穏やかにはしてくれそうもない。