Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第8章 ロー
「おまえ、自分が死んだ時のことは覚えてねぇのか」
「え?だから生き返ったじゃないですか」
「そっちじゃねぇ」
「は?」
あの件を言っているのではないのなら、彼は何の事を言っているのだろうか。
ナツは頭を抱え、当時を思い出しているのか
辛そうな表情のローに詰め寄った。
「あれは……俺が救えなかった命の内の1つだ」
噂の成功率99.8%の、0.2%の方か。
ナツは思い出した記憶も完全ではないのかもしれないと、ローの話の続きを食い入るように聞いていた。
「享年、85才だった」
「…うん?」
「おまえは前世で、老衰で死んだ」
「……はぁ!?」
ローの言葉を静かに聞いていたナツであったが、あまりの意味の分からなさに思わず大声を上げてしまった。
「まさか先に死んだって、……年取ってからの話?」
「おれを置いて逝きやがって」
「いやいやいや、85才って!十分生きたでしょ!!?天寿を全うして何が悪い!」
ナツはひとしきり叫んだあと、思いきり脱力した。
まさかこの男はそんなことを根に持って、ここ1年ほど暴走していたのか。
まじで記憶のなかった頃の私、気の毒すぎる……
まさか救えなかった命の、0.2%が
老衰で死んだ私を生き返らせようとした馬鹿げた手術だったなんて……
止めてくれよ、おまえはネクロマンサーにでもなるつもりか。
そして人を勝手に不老不死にしようとするな。
ナツがため息を吐いてソファーに深く沈みこむと、ローがそっと彼女を抱き寄せた。
「今度はおれが先に逝く。その為におまえは今からもっと健康に気を遣え」
「はいはい」
「糖分は禁止するぞ」
「え!?それは私に死ねと!?」
「死なせるわけねぇだろうが。お前の健康はおれが管理してやる」
「いやいや、勘弁してくれよ」
ネクロマンサー改め管理栄養士にでもなる気か。
知ってるぞ!
某管理栄養士が人に口煩く食事指導しつつも、自分はだらけた食生活を送っていることくらい!
彼の気持ちも分からなくはないが、それで食の楽しみを奪われても困る。
というか、今からどっちが先に死ぬかを争ってどうするんだよ。
ナツは再びため息を吐くと、ローに向き合った。