Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第8章 ロー
「散々人のことを振り回しやがって、覚悟はできてんだろうなぁ?」
地を這うような声が、辺りに響き渡る。
「え!?振り回されたのは私も同じなんですけど!そこはちゃんとしっかり覚えているぞ!」
ナツは手を突っぱね、ローから離れようともがくが
もちろん力で適うはずもない。
目の前で凶悪な笑みを浮かべている彼をどうにかしないと、私の身が危ない。
なんだよこれ、忘れてた方が優しいとかどういうこと?
というか、散々好き勝手していたのはローの方なんじゃないだろうか……
くそっ。
自分のことを棚に上げやがって。
「てかさっき……いい雰囲気で終わりそうだったじゃん!記憶を失った恋人にもう一度恋をする。めっちゃ素敵じゃない?」
「うるせぇ、んなことどうでもいいんだよ」
「よくねーよ!折角いい雰囲気だったのに、何勝手に不穏な空気に変えてるんだ!」
「これがおれだと何度も教えただろうが。……まだ教わり足りねぇのか?」
「いやすいません嘘です、ごめんなさい」
息をつく間もない程の言葉の押収。
先に白旗を降ったのはナツだった。
大人しくなった彼女を確認すると、ローはその身体を抱き上げる。
何やら驚き慌てているが、そんなこと知ったことではない。
ローは口元に歪んだ笑みを浮かべると、彼女を抱えたまま
その場を後にした。