Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第8章 ロー
「さっむ!!マジで寒いんだけど!!」
まったく誰だよ海なんて行きたいって言ったやつは。
ナツのその言葉に、目の前のローは元々深かった眉間のシワを更に深めた。
「てめぇが来たいって言うから、連れてきてやったんだろうが」
「すいません。謝りますのでそんな睨まないでください」
ナツは睨まれて顔を引きつらせると、その視線を海へと向けた。
まだ辛うじて風がそこまで強くないのが救いなのだろうが、それでも寒い。
くそー。
海見ても何も感じねぇぞ。
こんな寒い思いして来てやったのに。
これでローと私に関する全てが分かるとか、どういうことだ。
あの野郎もしかして騙しやがったな。
ナツは内心、白髪の彼女への文句が止まらなかった。
騙すも何もそれは夢の中の出来事。
それを現実のことと結びつけて考えたのはナツ本人。
これってもしかすると、自業自得とか言うヤツだろうか。
私の変な妄想に付き合わせてしまって……ロー、本当に申し訳ない。
ナツは同じく寒がっているローに心の中で謝罪を述べた。
そんな彼女に気を止めることもなく、ローは勝手に歩き始める。
二人は極寒の砂浜を、ぼんやりと歩いていた。
雪が降っている海というのも、中々に幻想的だ。
しかしとにかく寒い。
この寒い中、何だかんだでそれに付き合うローは、意外といい奴なのかもしれない。
彼の根が優しいのは、少し前から知っていたのだが。
ナツは苦笑いを浮かべると、更に足を進めた。
砂浜には流石に雪が積もってないが、隣接する山の木々は
うっすらと雪化粧が施されていた。
「あ、そういえば!ペンギンと一緒に行った場所だ。あれ」
ナツが先の方に見えた崖を指差し、小さくそう呟いた。
「あ゛?」
ローの耳にしっかり届いたらしいそれは、彼の機嫌を急降下させた。