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Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】

第8章 ロー



ナツがローからの質問攻めに合うこと数分。

当たり障りなく事実を述べてはいたものの、
埒が明かないその様子にナツは強行突破を決意する。


「そ、そうだ!あそこの崖から見える景色は綺麗なんだよ!時間的にもうすぐ夜だから、夜景も見れるし!」


ナツは口早にそう言うと、まだ文句を言い足りなさそうなローの手を引いて車へと戻る。

次々と道を指示する彼女に仏頂面を浮かべながらも、彼らはその崖へとやって来た。



目の前を元気そうに歩くナツ。
その姿をぼんやりと眺めながら、後を着いていく。


ナツがローを庇って撃たれたあの日。
ローの中で、もう答えは出ていた。


例え記憶がなくても、彼女はローが愛した人物には変わりはない。

最初は違和感から始まり、ナツを抱いて徐々にそれは確信へと変わっていった。

そして彼女も、何時か思い出すだろうと期待してしまった。

だが、中々思い通りには行かない現実。
それがもどかしくて、あの頃は随分と酷いことをしてしまった。

それでもナツはこうしてローを見限ることなく、今も一緒にいてくれている。

記憶はないけれど
そんなナツの全てが、彼女そのものだと言うように極似していた。

ローは繋がれている手に思わず力込める。






前世で愛した彼女は、ローを置いて死んでしまった。

目の前に昨日の事のように蘇るその光景に、ローは足を止めそっと目を伏せる。
そんなローの様子に気付いたナツがどうしたのとその顔を覗きこんだ。

何でもないと答え再び歩みを進める。


不思議そうな表情をしているナツにローは苦笑いを浮かべた。




ナツが俺をどう思っているかは分からない。

だけど……








目を閉じれば、白髪の女性が優しく笑っているような気がした。

それで良いんだよと、言うように。









記憶が戻らないなら、それでいい。

遠い記憶の中の彼女ではなく、ナツという人物を好きになった。










おれはもう一度、彼女に恋をした。


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