Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第8章 ロー
「他のオペ以前に、私あなたには昨日クビにされてた筈なんですけどね」
「良い上司持ったじゃねぇか。……いや、良い部下に恵まれてんのはこいつか」
二人はそんな雑談を交えつつも、全ての施術を終えてナツの胸を閉じた。
輸血が回ってきたのか、ナツの顔色は大分良くなっていた。
「そもそも、何でこの女心臓周りを銃で撃たれてるんですか?」
エミリアも今朝から姿が見えないし、と怪訝な表情を浮かべながらオペの後始末を行うリデル。
「……まぁ、色々とな。今考えれば、お前の部下がナツにワインぶっかけてくれて、良かった」
そう言って目を細めるローに、リデルは驚き目を見開いた。
こんな顔するロー、……見たことない。
特別待遇も良いところに、リデルは執刀医自ら患者を運び出すその様子を呆れた顔で見送った。
自分の想いは届くこともなく、
もう二度とローに抱かれることもないだろう。
ただ
彼に感謝され、あんな笑顔を向けて貰えるのであれば
いけ好かないあの無資格の看護師長を支えてやるのも良いかもしれない。
それは残忍で有名なリデルの心が、僅かに動いた瞬間だった。