Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第8章 ロー
落ち着け。
まだ助かる。
止まった心臓は蘇生すれば良い。
まずは動脈の再建だ。
心臓が鼓動を止めたことにより、出血は収まっていた。
破れた血管を迅速かつ丁寧に繋ぎ合わせる。
「あなた誰の下についてるのよ。輸血一つ取って戻るのにどれだけ時間を使えば気が済むの」
丁度その時、手術室のドアがあいた。
そこには輸血を取りに行かせた看護師と、呼んではいない筈のリデルの姿があった。
ローは聞きなれたその声に目を見開き、暫し茫然と入ってきた彼女達の姿を見ていた。
「何ぼさっとしてるんですか。私は構わないけど、死にますよ?この女」
リデルはわたわたと慌てる看護師に輸血の手配をさせ、ナツの心臓を埋もれる程覆い尽くしている血液をガーゼですいとる。
手慣れた様子でサポートに動くリデルに心の中で礼を述べ、ローはナツの心臓を手に取り、直接心臓マッサージを行った。
頼む……
動いてくれ……!
祈りを込めて、右手の心臓に刺激を与える。
「直接AEDかけてみます?この女丈夫そうですし」
珍しく額に汗を浮かべているローのそれを拭き取りながら、リデルがそんな事を口にした。
繋ぎ直した血管からは、ローが与える刺激に応えるように血液が漏れ出ることなく全身へと送られている。
ピーーーー、ピッピッピッ……
電気ショックも手段の一つかとローがリデルに指示を出そうとした瞬間、バイタルのアラームが変化した。
即座に画面を確認すると、数値は低いものの
脈拍も心電図も、その値を刻んでいた。
「本当、……しぶとい女」
リデルの口元はマスクで覆われていたが、彼女の目元は細められており
口ではそうは言うものの、リデルがナツの生還を喜ばしく思っていることを物語っていた。
「……助かった。お前、今日は他のオペが入ってたんじゃねぇのか」
「ええ。それが終わった所で色々と聞こえて来たので」
ローが摘まみ出した銃弾を、何も言われなくても当然のようにケースで受けとるリデル。
細かい血管を繋ぐのに必要な器具を手際よくローに渡しながらも、彼女は不慣れな看護師に輸血の開始を告げていた。