Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第8章 ロー
ローの誕生日当日
都内でも有名なホテルで開かれたその立食パーティには、多くの人が訪れていた。
来場者は医院の看護師がほぼ大半を占めていたが
中には各界の著名人や政治家、大企業の役員などテレビで見かける顔触れもちらほらと見られた。
ナツは看護師長という立場上、ローの傍に控えて彼に挨拶に訪れる来賓客への対応に追われていた。
しかしいつの間にか
彼の周りに集まる人々に追いやられ、気づけば離れた場所からその様子を見ている自分に気付く。
ほんとに凄い人なんだなぁ…
ナツは壁際に立ち、ゆっくりと酒を飲んでいた。
本当は目の前にある食事に食らいつきたい気持ちでいっぱいの彼女も、一応看護師長という肩書に自重し大人しくしているようである。
離れて見るローの表情は相変わらずであったが、一応社交という場を心得ているのか、幾らか愛想良く振る舞おうと心掛けてはいるようだった。
偶に看護師が近づいてきては嫌味を言われることもしばしば。
自分でかわしてみたり
離れた位置からではあるがローが睨みを利かせて牽制してくれたり
そんな時間を過ごしていると、
ナツもいい加減うんざりしてきた。
少しだけ控え室に戻って休もう。
会場を出ようと壁際の定位置から離れようとすると
「あら、ごめんなさい」
あからさまに不自然に飛んできたワイングラス。
ナツは持ち前の反射神経でグラスを掴んだものの、その中身はグラスからこぼれ、中身をかぶってしまった。
今日の日の為にナツに用意された白いドレス。
純白のドレスには、隠しきれない程に目立つ赤ワインの染み。
ちなみに顔面目掛けて飛んできそれのせいで、全身びしょ濡れだ。
流石にびびった。
あの速さで飛んできたグラスを掴めたのも、自分でどうかと思う。
ナツは台無しになってしまったドレスと、それを見てせせら笑う看護師達を見て、そっとため息を吐いた。