Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第8章 ロー
ローがどこかに行ってしまった為、ナツはぼんやりと部屋の中を見ていた。
前回はよく見れなかったものの、よくよく見ればこの院長室はとてつもなく広い。
トイレやキッチン、風呂までついてそうだ。
まるでマンションの一室かのような部屋に、ナツは少し驚いていた。
扉を開けてすぐの部屋にベッドを置くのはどうかと思うが。
しかしよく見てみると、ベッドの置かれている部分とこちら側の間にスライド式の扉が見える。
じゃぁ先日のステラの半裸を拝んでしまったのは、あれが開けっぱなしだったせいか?
辿り着いた答えにナツはため息を吐いた。
良く考えれば当然だろう。この院長室では外部からの客を招き打ち合わせをすることもあるだろう。
そんな部屋にベットなど置くはずがない。
恐らく今私がいるこっち側が、世間一般で言われる院長室なのだろう。
ナツはソファーの背もたれに寄り掛かかると、取り合えずローが戻ってくるのを待つことにした。
そして暫く経つと、マグカップを持ったローが戻ってきた。
「どうせお前、コーヒー飲めねぇんだろ」
そう言って渡されたのはココア。
なんてことだ。
遂に院長は私の性格だけじゃなくて心まで読めるようになったらしい。
「エスパーとかそういうアレですか」
そもそもなぜこの部屋にココアが置いてある。
看護師の中に好きな人でもいたのだろうか?
ナツは余計な考えを打ち消すと、お礼を言ってココアを受け取り口を付ける。
口の中に広がる甘味に、ここにきて漸く一息付けたような気がした。
ナツの言葉に一瞬眉を顰めたローだが、特に気にした様子はない。
さっきみたいに、いつも笑ってたら良いのに。
漂っている香りからして、彼のマグカップの中身はコーヒーだろう。
執務机に戻ったローが、何枚かの資料を手にとっては何かを書き込んでいる。
なんとなく、事務仕事をしている彼の姿は新鮮に感じた。
そして暫く、院長室には静かな時間が流れていった。