Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第1章 出会い
「ねぇ、トラファルガー先生に縁談の話来てるらしいわよ」
「うっそまじで?それって噂の元財閥会長の孫娘でしょ?金と権力に物言わせるとかないわー」
「まぁどうせ断られるかすぐ捨てられるでしよ。院長が誰かと身を固めるなんて想像もつかないわ」
「そうよね。そっちのほうが私たちも嬉しいし」
梅雨も明け始め夏が訪れようとしてるこの季節。
今日も今日とて昼休みの休憩室は院長の噂話で盛ち切りだ。
折角院長の激しいゴシップに耐性が付いてきたナツであったが、今日彼女はこの場にはいなかった。
(はぁ、今日はパターンAかよ。これ地味に一番迷惑なんだけど)
皆が昼休みを取っている頃、ナツは何時の間にか姿を消した書類を探していた。
自分の物がなくなるならまだいいのだが、患者さんや仕事関係の書類をどこかに持っていくのは勘弁してほしい。
今のところそこまで重要書類ではない上に、何だかんだで見つけられているからいいものを。
もしこれが重要書類で、尚且見つからない事態にでもなったのなら
流石にキレるかもしれない。
(昼休み終わる前に見つけたいなぁー)
誰もいない事務室をガサゴソと漁ってはみるものの、探し物が出てくる気配はない。
昼食を食べるのはとうの昔に諦めたけど、看護師達が戻ってくる前に見つけなければ何を言われるか分かったものではない。
自分で隠した物をなくした設定にして文句を言ってくるに違いない彼女達。
ベポ曰く雌豚さん達の煩い鳴き声を回避しなければ。
探す範囲を広げようと椅子の上に立ち上がり、部屋全体を見渡した。
「なに、お前また何か探してんの」
いつの間に事務室の扉の近くに立っていたペンギン。
ナツの視線は一瞬ペンギンを捕らえたものの、そのままスルーして通り過ぎていった。
「無視かよおい。」
その言葉にすら気に止めた様子もなく書類を探し続けるナツに、ペンギンは呆れた顔を浮かべながら歩み寄る。
ナツってそんなキャラなの?としゃがみこんで事務机から顔だけ覗かせている彼は、昔からの知り合い並に軽いノリだ。
いったいいつ我々は親しくなったのだ。
馴れ馴れしいペンギンの態度に、ナツはこっそりとため息を吐いた。