Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第1章 出会い
「ペンギンさん、昼休みですよ。早く休憩してきてください」
その辺のイスに座ってこっちを見ているペンギンに、書類を探す手を止めずに声をかける。
「ペンギンで良いって。俺もナツって呼んでるし。で?何やってんの?」
「国保連に出すレセプトの書類探してるの。急に瞬間移動したみたいで」
冷やかしなら帰ってくれ。
そう思いながら過去の帳票の納められた段ボールを漁る。
お前こそ昼の休憩は?と背もたれを抱え込みながらくるくると椅子ごと回っている愉快なペンギンの声が聞こえてきた。
あぁ、うん、それ楽しいよね。
頼むから別の場所でやってくれ。
「私の休憩はもう終わりました。本気を出せば弁当なんて3分で食べれるので」
「お前の休憩って弁当食うだけなの?なにそれ可哀想。」
けらけらと笑いながら話しかけてくるペンギンは一向に立ち去って下さる気配がない。
休憩=弁当で何が悪い。
ていうかまじで何の用?
あ。もしかしてこのまえのお礼をちゃっかり貰いに?
え?今このタイミングで?しかも向こうから?
そういうのは社交辞令として流すもんだろ。
いや、別にお礼するつもりがない訳じゃないんだけど。
「百面相って楽しい?」
探し物の手は止めないものの、随分と考えていた事が顔に出ていたようだ。
丁度その表情が見えていたらしいペンギンは、そう言いながらさっきまで以上に笑ってた。
何が面白いんだか。
「さてと。俺そろそろ戻るわ」
是非ともそうしてくれと思いながら綴り紐で纏められた書類を段ボールから取り出す。
ペンギンが椅子から立ち上がった瞬間、あらまぁと言う声と共にバサバサと何かが崩れる音が聞こえてきた。
ナツの足元まで散らばる書類。
「何してくれちゃってるんですか」
立ち上がる際にどういう訳か書類の山をくずしやがったペンギンをじと目で睨む。
ため息を吐きながら足元の書類をかき集めた。
「わり!じゃ、頑張ってね」
散らかした張本人は何時の間にかドアの前に移動しており、手のひらをヒラヒラさせながら出て行ってしまった。
この野郎と思ったが、丁度昼休みを終えるチャイムが鳴り響く。
ヤバい。
奴らが帰ってくる。
ナツはため息を吐きながら、余計に増えた目の前の仕事を片付けた。