Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第8章 ロー
どうあっても逃がすつもりのなさそうなロー。
ナツは8回にも渡る逃走未遂を経て、現実を受け入れた。
手術室に入る準備を終えそこに足を踏み入れると、既に正看護師3人が待機している。
彼女たちから無遠慮に注がれる視線に顔を引きつらせていると、程なくして患者が運ばれてきた。
「ローはね、何でも切っちゃうけど。特に心臓外科が専門なのよ?」
いつかの半裸美女がにこやかに話しかけて来る。
他の二人と反するように、全く敵意を向けて来る様子のないステラ。
彼女は患者が手術台に運ばれて来たと言うのに、そんなことは関係ないとばかりにお喋りに花を咲かせた。
この人工心臓弁移植手術は難易度としては然程難しいものではないらしい。
しかし患者は高齢で今回で5度目の手術。
患者が高齢であればある程、
過去に心臓の手術を受けた回数が多ければ多い程、
危険率は高まるらしい。
「よって本日のオペの成功率、30%!」
楽しそうに話す事を咎めるつもりはない。
だが患者の意識がある状態で、んな事声高らかに宣言せんでも良いだろう。
ほら見ろ。
患者が目に見えてガタガタと震えだした。
「でもね、ローのオペの成功率はトータルで99.8%!だから大丈夫!」
患者の手を握り笑顔で元気付けるステラ。
自分で恐怖のどん底に突き落としておいて、ご苦労な事だ。
手術の成功率がどの辺りが平均なのかは分からない。
でもどうせ院長は今回のように、半分以下の成功率しかないようなものばかり執刀してるんだろう。
そんな中でのその驚異的な成功率。
ブラックジャックかよ。
ナツはどこか遠い目をしながら、怯えているのか鼻の下を伸ばしているのか分からない高齢患者を見ていた。