Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第8章 ロー
ナツは窓枠に足をかけると、そこに腰を降ろし取り敢えず足をパタつかせながら足元に広がる大都会を見下ろした。
高っ!
落ちたら死ぬわこれ。
足がすくむ!!
やっぱやめようと思いとどまり、室内へ戻ろうとすると
丁度家主の帰宅を知らせるようにリビングの扉が開いた。
暫し無言で見つめ合う二人。
「おまえ、何をバカな事……!!」
我に返ったらしいローが血相を変え、荷物を放り投げてこちらに駆け寄ってくる。
「うわわわっ!?く、くるな!?」
ナツは驚いてバランスを崩しかけたが、何とか踏みとどまった。
そんな勢いでこっちに来られたら、落ちそうになるじゃないか。
驚いたせいもあり、思わずナツは駆け寄ってくるそれを制止した。
目の前には、血の気の引いた表情でこちらをみているロー。
珍しくナツの言葉に従った彼を、少し意外に思いながら彼女は見ていた。
自殺でもすると思っているんだろうか?
彼の手が、落ち着かないように動いているのが見える。
すぐにでもひっ捕らえたいものの、下手に刺激を与えればそれが引き金となって飛び降りるかもしれないとか思ってそうだ。
彼は自分で付けたこの足の鎖が見えないのだろうか。
いや待てよ。
この高さから落ちたら、途中で鎖が切れるかもしれない。
なんてこった。
危うく死ぬところだった。
今更ながら自分の逃走計画が危険極まりない物であった事に気付いたナツは、後れ馳せながらゾッと肝を冷やした。
(しかしまぁ、この状況はどうしたものか)
ナツは引くに引けなくなったこの状況に、頭を悩ませた。
ちょっと気分転換してましたとでも言ってみるか?
……いや、なんかどんな内容だろうと
自殺以外の理由でここに座ってたとか、激怒を通り越して逆に彼が私の息の根を止めそうだ。
自殺を止めといて自分で殺すとか、面倒な事をするもんだ。
普通に降りればいいものを、その後の彼が取りそうな行動が恐ろしすぎて動くに動けない。
悶々と考え続ける間も、ナツは相変わらず窓枠に乗ったまま。
その死と隣り合わせな状況が、ローを追い詰めているとも知らずに。