Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第8章 ロー
「はぁぁぁぁぁ」
ナツの盛大なため息が静かな室内にこだまする。
窓から見える景色は、夕焼けから夜景へとその姿を変えつつあった。
夜になればローが帰ってくる。
偶に急患が入るようだが、それでも彼が帰ってこない日はない。
ナツは窓に手を付きながら、相変わらず贅沢すぎる程に輝く夜景を眺めていた。
床から天井まで広がる窓は、部屋の端から端まで続いている。
数日に渡って部屋を散策したおかげか、だいたいの間取りは把握できた。
4LDKだと思われる彼の家。
しかし一部屋一部屋がとんでもなく広い。
もしかしたら最上階全てが、あの玄関の内側で繋がっているのだろうか。
部屋の中に置いてある家具は必要最低限のものしかないものの、どれも高級そうな気がした。
素人のナツでもそう感じるくらいだ。
実際には目玉が飛び出る程に価値のあるものなんだろう。
流石に変な壺や絵を飾る趣味はないようだが、下手に何か壊してしまわないか心配になる。
広いリビングにどっしりと構える、いったい何人座れるんだと考えてしまうほどの大きなソファー。
ふと、そこで抱かれた記憶が蘇った。
珍しく優しそうな雰囲気を感じたのも束の間
訳の分からない事を言っては結局いつも通りに無茶苦茶な抱き方で自分を翻弄する院長。
ナツは頭を振ると、眼下に広がる夜景に目を落としながら窓伝いを歩いていた。
一歩足を進めるごとに、着いてくる鎖の音。
これのせいで、玄関までは行くことは出来ない。
他にも長さの問題で入れない部屋が幾つかあった。
ナツはなんとなく目をやっていた窓の縁に、開閉ロックのような留め具を見つける。
入れない他の部屋にはあるのかもしれないが
このリビングにはバルコニーは見当たらなかったから気づかなかった。
こんな特殊な窓、景色を眺める為のガラス板かと思っていた。
開けることの出来ないものだと思っていたが、どうやらそれは違ったようだ。