Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第1章 出会い
ナツがやってきたのは病院の近くにある馴染みの店。
事の発端である戦犯野郎
あ、間違えた。
尊敬する父から教えてもらったこの店は、通の間じゃそれなりに有名らしい。
その証拠に、夕食時としては少し遅くなってしまった時間にも関わらず店内は人で賑わっていた。
お腹は減っている。
先ほどまでだだっ広い職場の中庭でリアル宝探しを楽しんできたばかりだ。
いや楽しくはなかったか。
料理が一流なのは知ってる。
美味しい物を食べる為の多少の待ち時間なら、苦にならない。
何だか今日はどっと疲れた。自分にご褒美でもあげなきゃ、やってらんねえ。
「えーっと。いつものやつお願いします」
そして程なくして空いたカウンター席に案内されると、慣れた調子で注文を済ませる。
ナツの頼むいつものやつ。
それはオムライスとハヤシライスである。
ちゃんとメニュー名で注文していた頃、まだ慣れない店員はオムハヤシですか?って確認してきた。
中々印象深かったらしく、2回目以降は殆ど何も突っ込まれなくなったけど。
悪いが私は別々で食べたいのだ。
(……ん?)
料理が来るまでの間携帯を触りながら待っていたナツは、隣の男女の隠すつもりもない雰囲気にいたたまれない気持ちになりつつあった。
確かにここは雰囲気も良い。お洒落なバーみたいな感じだ。
だがいちゃつくなら個室でやれ。
何処でいちゃつこうが本人の自由だと言われればぐうの音もでない。
しかしここはシャイな人種の多い日本。自由の国アメリカではない。
周り客達の、気付いているのに敢えて目線を反らしている国民性むき出しの心理を少しは察せよと言いたい。
主に女性の方が甘ったるい言葉を吐きながら、ベタベタとスキンシップを楽しんでいるようだ。止めない様子の男性の方も同罪だろうけど。
ナツは職場を出たというのに男女のイチャつきに縁が有りすぎる自分の境遇に軽くため息をつくと、程なくして運ばれてきたオムライスとハヤシライスをさっさとお腹に収め、足早に店を後にした。
何も言えねえぜ。日本人の国民性万歳。
なんだか男性の方がこっちを見ている気もしたが、気のせいだと思うことにした。
きっと彼は公共の場でイチャついてる時の周りの反応を眺めるのがマイブームなんだろう。
全く迷惑な趣味だ。