Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第1章 出会い
(なんだろう。ベポと出会って以来初めてまともな人と会った気がする)
めちゃくちゃジロジロ見られている気がする。
でもペンギンがバックを拾ってくれた事は本当に有り難かった。
こんな時間に携帯片手にうろついてた私も結構な不審者だった筈だ。
不審者の人相に興味がある人なんだろう。きっと。
「受付の割には色気ないのね」
前言撤回。この病院にまともな人間はいなかった。
なんか見られてるなとは思ってたけど、そういうことを考えていたのかこいつは。
確かに美人ばっかりの世界で地味な私の存在は浮いてるだろうよ。
だからと言ってこれ以上私にダメージを与えてくれるな。
オーバーキルでも狙ってるのか。
せっかく出会えたと思った一瞬だけまともだった人の言葉に脱力する。
これ以上関わらない方が良いだろう。もう一度お礼だけ言ってしれっとこの場を立ち去ろう。
何が悲しくて会って間もない人に色気云々を言われなきゃならんのか。
自慢じゃないけど私は色気よりも食い気だ。
色気で腹が膨れるか。
てか一流企業の受付令嬢じゃなくてただの病院の受付だよね?私。
うっかり流されるとこだったけど、私別に悪くなくね?
「そうですね、私もそう思います。じゃぁ拾ってくれてありがとうございました。このお礼はまた今度しますので。ではでは失礼します」
引きつる顔に何とか笑顔を張り付けて彼にお礼を言い、早くこの場を立ち去ろうと踵を返した。
「へー。お礼してくれるの。……帰り、気を付けてね。」
声に反応して一瞬振り返った時に目に入ったペンギンは、何か言いたげに口角を吊り上げたけど、結局何も言わずに見送ってくれた。
気を付けろとか言う辺り、初対面の女性を色気で判断するらしいペンギンはやはり根は悪い人ではないのかもしれない。
……今日はもう遅いし、どこかで食べて帰ろう。
ナツの思考はやはり食へと走った。
(受付、ね。)
姿が見えなくなるまで、その後ろ姿をただ眺め続ける存在に
彼女が気づくことはなかった。