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Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】

第8章 ロー




静まり返ったエントランスで、二人の睨み合いが続く。

夜も遅いので、人通りが少ないのがまだ救いだろう。

ナツはそんな二人を、息を呑んで見守っていた。


「こいつに近づくなと言った筈だ。泊まる?……何考えてんだてめぇは」


ローは一瞬、ナツに視線を寄こした。

こんな時間帯に、ペンギンの部屋を訪れようとするナツが、一体何を考えているのか分からない。

しかも泊まるだと?

……分からないものの、この状況はローの逆鱗に触れるには十分だった。

腕の中で青ざめた表情をする彼女の視線の先は、ローではなくペンギンを捉えている。

助けを求めるようなその瞳に、ローの心は凄まじく荒れていった。










「ナツの要望通りのセックス、俺頑張ろうと思ってたのに」


そして長い沈黙が終ったかと思えば、とんでもない言葉が聞こえてきた。

ペンギンのその言葉は、瞬時に辺りの空気を凍り付かせる。





「……へぇ?」


ローは口元を吊り上げるが、目は笑ってなかった。

ポケットに忍ばされていた手が僅かに動く。

ペンギンはその様子に軽くため息を吐くと、彼との距離を取った。





「ま、冗談だけど」


何時の間にかペンギンの手に持たれている鍵。

彼は手に持つ鍵をクルクル回し、おどけたように笑った。

院長がポケットに忍ばせているものが何なのか分からないが、碌なものじゃないは確かだ。

お互いのために、ここは大人しく退散したほうがいいだろう。

青ざめているナツに、少しやりすぎたかとペンギンは己の行いを省みた。

面白半分、本気半分。

只の変な執着心でローが暴走しているのなら、それは止めなければいけない。

だが、片時も放さずにナツを抱き締める腕と
怒りの中に見える僅かな焦燥感。

長い付き合いだからこそ分かる。

ローは本気で、ナツを失う事を恐れている。


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