Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第7章 分岐
一通り話終えると、なんだか胸がすっとしたような気がした。
誰かに話すと言うのは、それなりにストレス発散になるらしい。
絶対にからかってくると思ったペンギンは
へぇとかふーんとかそんな適当なことしか言わなくて
だからこそ自分の言いたい事や鬱憤を、ちゃんと話せたんだと思う。
「で?ナツはどうしたいの」
「それが分かったら悩んでないんですけど」
ローが自分に向ける気持ちが何なのかが分からない。
それをどうしたいのかも分からない。
携帯も財布もない状態で、これからどうしたら良いのかも分からない。
さっきから私の愚痴は、分からない事だらけだと言うのに
この男は適当な相槌同様、人の話を適当に聞き流して居たのだろうか。
「可能不可能ってとこ抜きにしたら。何でも叶うとしたらどうしたい?」
「なんだそれ」
そんなあり得ない事を話して何になる。
胡散臭い物を見るような目で、柵に寄りかかるペンギンを見上げると
ふざけている訳ではなさそうな、彼が珍しく真剣な目をしていた事に僅かばかりに動揺した。
「……考える時間が、欲しいです。変な人だけど、なんか放っておけないというか」
本当に私はどんだけドMなんだろうか。
あれだけの事をされておいて
逃げられるこの状況で逃げを選択しない自分に、呆れすぎてため息も出てこない。
「じゃあ俺んち居たら?気の済むまで考えたら良いじゃん」
「は?」
こちらを見下ろすペンギンは、仕方ねぇなとでも言いたげな目をしていて
冗談でそう言っている訳でもなさそうだ。
「いや……流石に男性の独り暮らしの家に転がり込む訳には……」
「俺もドMなナツが満足できるプレイを出来るかは知らんけど」
その発言にズサーっと身を引いた私を見て、ペンギンは冗談だってとけらけら笑っていた。
……お邪魔してしまおうか。
荷物を取りに行くにしても、病院の近くに居た方が都合が良い。
1文無しのこの状態で、ペンギンの家以上の好条件が他にあるだろうか。
「本当に良いの?」
「一生居てくれて良いよ」
持つべきものはDTB仲間だな!
ナツは隣に佇むキリンの首滑り台を得意とする高レート保持者を、頼もしそうな目で見上げた。