Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第1章 出会い
(あーなるほど。次から家で着替えて出勤しよう。そして荷物は持ってこないようにしよう、そうしよう)
敷地内の広い中庭を携帯の明かりを頼りにウロウロと徘徊するナツ。
今日は中々上手いこと隠しやがったらしい。
見つからない荷物にだんだんと腹が立ってきた結果、名案が浮かんだ。
結果オーライだ。
パターンB、攻略完了。
本来は鍵が掛かっているはずのロッカーなのだが、どういうわけかここの看護師にそれは関係ないらしい。
恐ろしい世の中だぜ。
明日からの打開策は思い浮かんだものの、肝心の荷物が見つからない。
暗闇の中携帯の明かりだけを頼りに進んでいると、その光は何時の間にか、知らない男の人を照らしていた。
「……!?」
「ん?」
一瞬幽霊かと思って悲鳴を上げそうになったがなんとか耐える。
白いつなぎに深めに帽子を被った男の人。
表情が見えないせいか、悪いけど怪しい人にしか見えない。
いやそれを言うなら携帯片手に庭をウロウロしてる私もかなり怪しいな。
なんだ。お互い様か。
「気づかなくて。すいません。……って、あれ?」
とりあえず謝罪だけして再び荷物の捜索に戻ろうとしたが、彼が手にしている荷物には見覚えが有りすぎる。
「これお前の?落ちてたから取り敢えず拾ってみたんだけど」
そう言って彼はカバンを返してくれた。
なーんていい人なんだー。
「ありがとうございます!…えーっと…?」
「俺?ペンギン。ここで理学療法士やってんの」
「なるほど!私はナツです。少し前に受付として雇われました」
荷物を拾ってくれた彼はペンギンと言うらしい。
幽霊か不審者かと思った彼が同じ職場で働く同僚だった事には驚いたが、そういえばここの理学療法士はこんな白のつなぎを着ていた。
看護師を抜きにしても、この職場は男性職員の数も少なく目撃例もほぼない。
なんだ同じ職場の人だったのか。
すっかり忘れてた。