Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第7章 分岐
あのパピヨンはとんでもなく可愛いものの、どうせ飼えない。
ナツはペンギンの電話が終わるまでの時間を潰そうと、ペットフードやおやつが販売されているコーナーをうろついていた。
「「あ」」
おやつコーナーで鮭ジャーキーを物色している、見覚えのある白熊。
白熊の方も気付いたようで、両手一杯にジャーキーを抱えたままナツに向き直った。
「まさか本当に売られてるとは……!」
「何の話してんの」
結局半額まで値切る所か売り物ですらなかったベポ。
経緯を話した瞬間、白熊の鉄拳がナツを襲った。
「あたたた。で?売られてたんじゃないならこんな所でなにやってるの?」
「おやつの買い込み。前ペンギンに貰ったの美味しくて」
ほくほくと鮭ジャーキーを抱えてご満悦のベポに
今更なんで熊の癖に服着て喋って働いてんだとか聞いたら
ダメだろうか……
ナツが頭を悩ませていると、通話を終えたらしいペンギンが戻ってきた。
「アッハッハ!マジか!出張は名ばかりで遂に廃棄処分?」
ベポの姿を見るなり腹を抱えて爆笑しだしたペンギンに、本日二発目の白熊の鉄拳が炸裂した。
廃棄処分とか……中々酷いことを言うもんだと、ナツは哀れんだ目をベポに向ける。
「で?二人こそこんなとこで何やってるの?」
「デート。そろそろ時間だから行こうぜ」
得意気な顔で肩を抱くペンギンに、そんな二人の様子を見て目を丸くするベポ。
ナツはどうしたものかと頭を抱えながら、ペンギンに促されるままに車へと戻った。
「どこ行くの?」
「ナツが元気になれるとこ」
鼻歌を歌いながら上機嫌で車を走らせるペンギンは、本当に一体どこへ向かっているのだろう。
車は郊外を走り抜け、窓の外の景色は都内とは思えない木々が生い茂る山道。
カブトムシでも採るつもりだろうか。
チラリと運転席のペンギンに目を向けてみたものの、相変わらずのポーカーフェイス。
その横顔からは、行き先どころか何を考えているかすらも読み取ることはできなかった。