Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第7章 分岐
「ペンギン凄いとこ住んでるんだね」
彼が住んでいるらしいマンション。
マンションと言うか、タワマン。
病院の近くに何棟も立ち並んでいるタワーマンションの内の一つに、ペンギンは住んでいたらしい。
都心の高騰している土地だというのに、マンションの周りには手入れの行き届いた草木や花々の生い茂る庭園が広がっており
エントランスなんてまるで、ホテルのロビーのようだった。
コンシェルジュらしき綺麗なお姉さんに、カフェや歓談スペース。
高層階にあるペンギンの部屋まで上がるエレベーターの中で
最上階が60階まであったことと、プールやスポーツジムまで入っているブルジョワぶりには度肝を抜かれた。
「ここ借り上げ社宅だから。家賃驚く程安いよ」
羨ましいだろと得意気な顔でエレベーターを降りたペンギンの後ろを、ただ黙ってついて歩いた。
中央の吹き抜けから下を見下ろして、その高さに足がすくむ。
なにここ。
世界が違過ぎて怖い。
「ナツこっち」
自分の知らない世界に圧倒されていると、玄関の扉を開けたペンギンが呆れたようにこっちを見ていた。
っていうか
ここファミリー向けじゃないの?
ペンギンは実は既婚者で子持ちだったりするの?
ふと浮かんだ疑惑を抱えながら、彼の後について玄関に足を踏み入れた。
外も外なら中も中だ。
「ペンギン、この家1人で住んでるの?」
「ナツが一緒住んでくれるなら1人じゃなくなるけど」
相変わらずふざけたこいつにまともに取り合うのは止めよう。
家なき子で実家に帰る為の資金もない今の私には、それは少し興味の引かれる話ではある。
がしかしペンギンのことだ。
どうせいつもの調子の良い冗談だろう。
「適当に座って待ってて」
そう言ってペンギンは奥の部屋へと消えて行った。
とりあえずリビングの革張りのソファーに腰を降ろす。
意外に片付いた部屋だ。
でもペンギン以外の人が暮らしている生活感はない。
良かった。
奥さん(仮)に愛人疑惑をかけられて訴えられる手前まで進んでいた妄想は、これ以上する必要はないらしい。
部長のペンギンですらこんなすげぇとこに住んでいるのなら
院長は一体どんな城に住んでるんだろうか。
ふと、そんな疑問が頭を過った。