Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第7章 分岐
「お前どうせこの後暇してんでしょ?せっかくだからどっか行こうぜ」
ペンギンは立ち上がると、ナツに手を差し出した。
「人を暇人呼ばわりするなよ。てか私お財布とか荷物、何もないんだけど」
ナツはその手を取るか一瞬迷ったものの、何となく彼の手を掴み立ち上がった。
「なにホームレスごっこでもするつもりだったの?」
笑いながらこちらを見てくるペンギン。
ナツは違うと言って睨んでやった。
「ナツ本体が居れば俺はそれで良いけど。取り合えず俺も仕事着だし、いったん家寄って良い?」
ナツの手を掴んだまま歩き始めるペンギン。
確かに彼の服装は、見慣れた白のつなぎ。出掛ける用のものではなさそうだ。
というか何故手を離さない。
そして聞いておいて
私の返事を待たずにもう家に向かっているだろう、お前。
「てか、そもそもなんでペンギンはここにいたの?」
ナツは繋がれた手を外そうと試みたものの、しっかりと握られたそれを彼が離す気はないらしい。
あの公園は、医院からそこまで離れてないにしても
今向かっているらしい彼の家とは反対方向のように思える。
ナツは首を傾げた。
「探し物してた」
「え、探し物あるの?じゃぁ私も手伝うから戻ろうよ」
足を止める事なく少し前を歩くペンギンの腕を引く。
どうせ暇だ。
散々助けて貰った彼を助けられる恩返しの機会。
出かけるよりも探し物を手伝った方が有意義だろう。
「……もう見つかったから。ありがと」
ペンギンは顔だけ振り向いてニヤリと笑うと、再び私の手を引いて歩き出した。
え?
意味分かんねぇ。
探し物だと言ってみたり、もう見つかったと言ってみたり
ナツの頭に浮かぶ疑問符の数は先ほどより確実に増えた。
しかし彼は、どうせ問いただしたところでまともに答えてくれる気がしない。
ナツは諦めて、鼻歌なんぞ歌いながら楽しそうに前を歩く彼に
大人しくついていくことにした。