Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第7章 分岐
「お待たせ。行こーぜ」
あっという間に着替えてきた彼は、ラフな黒のパンツにTシャツ、首元にストールを巻いていた。
顔が良いと適当な格好でもお洒落に見える説。
○曜日のダウン○ウンででも取り上げてくれないだろうか。
ダメだな。笑えるオチが一つも見当たらない。
くそ。
「腹減ったなー。ナツなんか食いたいもんある?」
「ペンギンは?好きな物とか、苦手なものとか」
玄関で靴を掃きながら今日の夜ご飯について話し合う。
車の鍵らしき物を持って先に玄関を出たペンギンは
こんなタワマンの高層階に住んでおいて、車まで持ってやがるのか。
さすが大病院の部長様。
「俺卵好きー」
「好きな物は意外と庶民派だな、おい」
旨いじゃん卵、と玄関の鍵を閉めるペンギン。
よし、卵が好きなら今日の夕飯は決まりだ。
「ペンギン!夜ご飯行きたいとこあるんだけど」
「どこー?」
店の名前を伝えると、近すぎるから飯は歩いて食いに行こうと再び手を取って歩き出した。
なんでペンギンがこんなに手を繋ぎたがるのかは分からないが
この人と居ると気が楽だ。
気心知れた友人と出かけるような感覚。
それに
全く触れて来ない先日の電話の件。
リデルに助けて貰った時も思ったが
ペンギンはこう見えて意外と策士だ。
きっと私が気まずいのを分かってて、触れないでいてくれてるんだろう。
「ペンギン、さっきも言ったけど私お財布もないんだが」
「そのくらい出しますよ」
一応再度念押ししておこうかと思い、エレベーターに乗り込む彼にそう告げると
彼はあの見慣れた、得意気な笑みを浮かべていた。
「デートでしょ?男が出すに決まってんじゃん」
デートのつもりはなかったが
ここで違うと言っても、私には財布がない。
そもそも前も言っていたが何故こいつはそんなにデートに拘るんだ?
ペンギンはエレベーターの中で
車のキーに付いたリングを指に引っかけながら
口笛を吹きつつ楽しそうにそれを回して遊んでいた。
そんな彼を胡散臭げな目で見つつ
背に腹は変えられないと、彼とのこの外出をデートということにしたナツであった。