Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第7章 分岐
取り合えず実家に帰ろうとしたナツは、ここで重要な事実に気が付いた。
「…げっ、財布がない」
そういえばベットに投げ飛ばされたとき、バックが床に落ちたような気がする。
まさかのホームレスフラグに、ナツは頭を抱えた。
ナツは公園のベンチを見つけると座り込み、医院へ戻るか考えていた。
「……ナツ?なにしてんの?」
ナツがぼーっとしてると背後から聞こえた声。
振り返ると、そこにはペンギンが立っていた。
彼は驚き目を見開いているナツに見慣れたやる気のない笑みを向けると、隣に座り携帯を取り出した。
「えーっと、……まぁ、色々と」
隣で勝手にゲームを始めるペンギンに、こいつは人の話を聞いてるのかと突っ込みたくなる。
というか、先日のことがあるのでかなり気まずい。
出来れば挨拶だけ交わした後、そのまま去っていって欲しかった。
「聞いて欲しい事あんなら、聞くけど」
ナツがジト目でペンギンを見ていると、携帯の画面を見ていた筈のペンギンが不意に視線を合わせてくる。
こちらを見つめるペンギンの顔は
呆れのような、心配してくれているような、寧ろ何も考えていないような
とにかくどうとでも取れそうなそれから、彼の感情を探ることはできなかった。
「いや、別にそういうわけじゃないけど……」
ナツは言葉に詰まる。
先日のことにせよ、今日のことにせよ、
どちらにしても、言いにくい事この上ない。
誰かに聞いて欲しい気もする。
でもそれ以上に、自分の恥ずかしいネタを掘り起こしたくはない。
ナツはペンギンから視線を逸らすと、目の前で遊んでいる子供達をぼんやりと見ていた。
そんなナツの様子を、ペンギンはただ見つめていた。