Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第6章 迷い
ナツは院長室へ連行されて早々にベットへと投げ飛ばされた。
慌てて受け身をとって起き上がる。
しかし、扉との間に立ち塞がるローが手に持っている物に、顔を青ざめさせた。
見せつけるように垂らされた、長い鎖のついた手錠。
ナツはじりじりと後ろに後ずさった。
「拒むならそれでもいいと言ったが」
ローは逃げようとするナツの手を掴み目の前まで引きずった。
「逃げて良いとも言った覚えはねぇ」
本音を言えば、自分の意思でここに居て欲しい。
俺の傍で、俺だけに笑って
ナツがそうしてくれるのであれば、もっと優しくしてやれる気がする。
でもそれが叶わないなら
どうあっても俺を拒むというのなら、お前の意思なんてものはもうどうでも良い。
その目に映るものを、俺だけにしてしまえば良い。
他の誰かに愛想を振り撒く事もなく、俺だけの前で、俺だけの為に生きれば良い。
ロー本人も、ここまで執着する自分自身に驚いている部分もある。
彼女のどこに惹かれているのか、それを聞かれてもはっきりとした答えは出ない。
身体の相性はいいが、それだけではないだろう。
ローの心と身体はナツを欲している。
理由は分からなくともその欲求は、紛れもない事実だ。
「ちょ、ちょっと待ってください。落ち着いて!深呼吸!!深呼吸しましょう」
ローのただならぬ雰囲気にナツは掴まれた手を外そうとするが、それはびくともしない。
ローがナツを繋ぎ止めようと腕を掴むその力は
男女の力の差だとか、そんな当たり障りのないもので説明できるものではなかった。
「今更お前がそれを言うのか?落ち着いて話がしてぇって誘いを……断ったのはてめぇだろ」
耳元に寄せた唇から紡がれる、恐ろしい程に低くて冷徹なローの声。
ナツの身体は、再びびくりと震えた。
今回に至っては、その原因は恐怖だ。
目の前で怯える自分を無表情で見下ろすこの男が恐ろしくて堪らないと、全身が警笛を鳴らしている。
ローももう、引き返すつもりは更々なかった。
このままナツを離せば、二度と会えないだろう。
それでも何時までも拒み続ける彼女に、ローの瞳は僅かに揺れ表情を曇らせた。