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Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】

第6章 迷い



「ちょ、え?まって」


ズルズルと引きずられるナツ。
アパートがもぬけの殻だったのはローの仕業だった。


「荷物は全て医院の社宅に搬送した」


けろっと何でもない事のようにそう話す院長が、何をしたいのかが分からない。

どんだけ仕事早いんだよ。

ナツは信じられなような目で前を歩くローを見上げていた。


「離さねぇって、言っただろ。本気でおれから逃げ切れるとでも思ってんのか」


彼が向かっているのは、恐らく院長室。

逃げ切れるも何も、そもそもなんで基準が院長のご意志なんだ。
私が何しようと私の勝手だろう。


「いやほんと、院長は何がしたいの?」


ナツは力の限り足を踏ん張りローを引き留めた。

足を止めたローの後ろ姿を、ただ見上げるナツ。

暫しお互いの間に沈黙が流れた。








「…おまえは……おれを拒むのか?」


長い沈黙の後、彼が発した言葉。

拒むってなんだ。
どういうことだ。


ローは首を傾げ要領を得ない様子のナツに舌打ちをすると、振り返り彼女の顎を掴み上げた。

逸らすことは許さないとでも言うように
はっきりと合わせられる視線。

彼の瞳には、欲情、怒り、不安、………そして少しだけ愛情が混ざっているような、そんな気がした。

ナツは怖気づいて後ずさろうとするが、彼はそれを許さない。


「……っん…!」


ゆっくりと合わされた唇。

今までの荒々しいものではなく、慈しむような口づけ。
ナツは目を見開いたまま、動けなかった。


「おまえがおれを受け入れないなら、それでも構わない」


ローは口づけから解放すると、嗜虐的な笑みを浮かべた。


「おまえがおれのものだと言う事に、なんら変わりはねぇからな」


はっきりと伝えられた所有物宣言に
ナツは身体が震えた気がした。


それは、恐怖からくるものだろうか。



それとも




彼女の中に眠る、また……別の何かがそうさせるのだろうか





この時はまだ、分からなかった。



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