Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第6章 迷い
え。
もう荷物搬送されたの?
いくら何でも捌けすぎるだろう。
ナツは全ての部屋を見て回るが、何一つ荷物が見当たらない。
あれか、もしかして泥棒が入ったのか?
まじかよ。綺麗に箱詰めされた状態で盗みに入るとか。
さぞ泥棒も喜んだことだろう。
この状態に至ったであろう経緯を想像する。
泥棒のアシストをしてしまった自分に頭を抱えつつも、どんなだけついてないんだと
目の前の現状を受け入れられず立ち尽くしていた。
警察に通報するべきだろう。
だが如何せん頭が追い付いて来ない。
取り合えず、もうこのまま身一つで実家に帰ろうか。
本当は違うアパートへ移動するつもりだったが仕方ない。
ラインブロック中の父はどうしてるだろうか。
帰って早々うざそうだが、そんなこと言ってる場合じゃない。
ナツは思いっきり肩を落とすと、実家に帰る為玄関へと向かった。
ガチャ
靴を履いていると、不意に聞こえてきた
玄関の扉が開く音。
「逃げるつもりだったのか?」
この声には、聞き覚えがある。
ナツは身体を強張らせると、ギギギっと視線を上に向けた。
そこには
白衣を着たままのローが、酷薄の笑みを浮かべたまま立っていた。
「ぎゃぁぁぁ!?」
ナツは思わず靴を投げ捨てて後ずさった。
なんだよこのタイミング!!
BADENDか!?
私はここで死ぬのか!?
つか何でここにいるんだよ!仕事はどうした!?
ナツが冷や汗をかきながらジリジリと後ろへ後退するが、それを阻むようにローに腕を掴まれた。
「おまえが昨日の昼休み、電話しているのを聞いた」
静かに言葉を発する彼の瞳は、しっかりとナツを捕らえていた。
あの日偶々近くを通りかかったローが聞いてしまった
ナツがここから逃げようとしている事が明白な、あの電話の内容。
その事実は、彼を酷く傷付けた。
目の前から、なんの断りもなく去ろうとするナツ。
行動ばかり先走るのも些か問題だろうと
自分の行いを省みて話でもしようかと思ったのに
こいつはそれすらも聞き入れようとはしない。
俺だけに縋りついてろと
あれだけ身体に教え込んだのに。
ローの中に眠る狂気は、再び呼びおこされようとしていた。