Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第5章 激情
ナツは朦朧とする意識の中、唯一この状況を変えてくれる可能性のあるローが戻ってくるのを待っていた。
いっその事意識でも失ってくれればいいものを。
身体に起こる異変は、先ほど塗り込まれた小瓶の中身が何であるかを如実に物語っている。
何度も押し寄せてくる快楽の波に、溢れそうになる声どころか荒い息使いさえも漏らせないこの状況。
どのくらいの時間がたったのかは分からない。
何度目かになるかも分からない絶頂を迎えて尚競り上がってくる疼きは、1分1秒でさえも長い時間に感じられた。
機械的で一定なその刺激にすらも耐え難いこの身体にうんざりとしながら耐えていると、不意に扉が開いた。
そこには資料を手に持ちこちらを見下ろすローの姿。
ローはナツの姿を舐めるように見つめると、口元を吊り上げた。
ベットのシーツはぐちゃぐちゃに濡れており、ナツの口元からは唾液が絶えず流れ落ちている。
その瞳は光を失い、涙の跡が残っていた。
「待たせたな。牽引器はコラソン整形外科に送れ」
携帯を手に取り資料を眺めながらそう口にするローをナツは思い切り睨み付けた。
それをあえて無視して再び話を始めるこの男。
時折撫でるように身体を這う手の動き。
そんな刺激では足りない。
思考が熱で犯されていく。
こんな自分、知らないし知りたくなかった。
例え薬の影響とは言え、物足りないと思い始める自分の思考回路を消し去りたかった。
何が悲しくて好きでもない人からこのような仕打ちを受けないといけないのか。
好きでは……ない?
ナツは熱で浮かされる頭で、ぼんやりと考えた。
よくよく考えれば、ここまでされて尚嫌いかと聞かれれても首を縦に振れない気がする。
ならば好きなのかと聞かれても、それは分からない。
ナツの意思とは違う意思が、この身体のどこかに存在しているのだろうか。
自分のものである筈なのに、心も身体も別々のような気がした。
ナツの思考は辿り着かない答えを、押し寄せる快感の中でずっと探していた。