第12章 麻里と有栖
胸に強い衝撃を受け、咄嗟に飛び込んできた物体を掴んだ。
僕が掴んだのは、《お前は誰だ!エルはどこだ!》と語りながら じたばたと暴れるアライグマだった。
『君が…チャツネ、だね?ごめんね、今話すから僕の膝の上で大人しく話を聞いてくれるかな?』
《しょうがねえな、…
……ん…撫でられんの気持ち……じゃなくて!早く話せよ!!》
『あっはは、分かったよ』
チャツネの柔らかい毛をもふもふしていたら怒られたので、簡単に事情を話した。勿論、話している間はずっと撫でていた。
『……ってことなんだ。ごめんね、驚いただろう?』
《なるほどなー、よくわかんねーけど…。で、エルはいつ戻って来るんだ?》
『……それはね、分からないんだ。
とりあえず、一番早く来るとしたら約1か月後の満月の後だな…』
《そっかあ…つまんねーな、エルとあわあわすんの楽しいのに、しばらく出来ないのか…》
洗濯のことだろう。あわあわ、という表現が可愛らしくて、ついふっと笑ってしまう。
『僕で良ければ今度一緒にあわあわしようか?』
《っ本当か!?……っでも…見た目がエルでもお前のこと何も知らないしな…》
信用できない、と語りながら、チャツネは僕を見上げる。
『じゃあ、お互いきちんと自己紹介しようか。でも、もう時間も遅いし、明日の夕方にまた来るよ。それでも良いかい?』
《……まあ、これもあわあわのためだ。
癪だけど、お前の撫で方 気持ちいいし…分かったよ》
『ありがとうチャツネ。じゃあ、おやすみ』
そう言うとチャツネはぴょんと膝から降りてふっと鼻を鳴らして巣があるらしい方へパタパタと走って行ってしまった。
僕もすぐに立ち上がって服に付いた毛を払ってから部屋に向かった。
『動物は…嘘を吐かないから信用できる』
「…………」