第9章 黒のQと仲間達
最初に違和感を持ったのは、"声"だった。
「……はい!起きてますよ!今行きます!!」
声そのものはエルのものだ。口調もエルと同じだ。
しかし、俺には、その声の中にどこか不安げな表情が隠されているような気がしてならなかった。
そして、扉を開けた彼女の姿を見て、その違和感が更に増した。と言うより、何かを確信した、と言った方が正しいだろう。
少し不器用に纏められた髪型に、普段はほとんどしないパンツスタイル。
そして、深い灰色の目。
「おはようございます!シリウスさん!!」
……彼女は何者だ?
「おはよう!フェンリル!!」
……何故俺達の名前を知っている?
彼女が兵舎を飛び出して行った後、フェンリルに指示をし、後を追いかけたが、既に彼女の姿はなかった。
そう遠くへは行っていないはずだと、軍の馬に乗って、見逃さぬように見回しながら黒の領地、そしてセントラル地区を回り、民衆への聞き込みをする。しかし、エルの姿を見たという人はおらず、一通り見て回った時には、日は隠れ始めていた。セントラル地区を見回っていた赤の兵にも尋ねてみたが、赤の領地でも目撃情報はない。
そして、最後に訪ねた入らずの森の奥地で、やっと見つけることができたのだ。
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旧友の家からの帰り道、慌ただしく過ぎた1日を思い出し、ふっと息をつく。
とりあえず、良かった。
だが、問題はこれからだ。
いつもより少し疲れた心と身体を引き締め、馬の腹を蹴った。